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メンタルヘルスに関する、スポーツ普及啓発活動

SFC研究所所員(2019年卒業)

原匠

自身の原体験をもとにして、
問題視されている社会課題を解決したい。

私は現在、「メンタルヘルス」に関する普及啓発活動を行っています。活動の一環として自転車日本一周旅をしながら、全国各地の教育現場や福祉施設等で講演会を実施。学生時代から精力的に取り組んできたバスケットボールを通じて地域の方々と交流を深め、活動を推進してきました。(2021年3月〜2022年8月)
このような活動を始めた背景として、大学時と会社員時に「うつ病」を発症したことが挙げられます。学生時は自殺未遂、精神科病棟での入院生活も経験しました。学生当時、周囲の方々の献身的なサポートもあり何とか社会復帰をしたものの、会社員2年目にうつ病が再発。休職をさせて頂くことになりました。
(また同じ状況に戻ってしまった。もう立ち直ることはできないだろう。)

そんな絶望感や申し訳無さに悩まされている中、私にとって大きな転機となる出来事がありました。それが「似た経験をした人物と自身の想いを共有する」といったものでした。
その相手となったのが中学時代からの友人にあたる人物で、私の現状を知った彼はその時初めて自身のメンタル不調時の出来事を打ち明けてくれたのです。私の中で彼はそのような気質があるタイプだと思ってもいなかったので、その時は本当に驚きました。ただ、この時に彼と話をしていた時間はかつてないほど安心感が持てる時間であり、得体の知れない何かから救われていくような感覚にもなったのです。
当時、医師から処方して頂いていた薬を飲んでいましたが、正直あまり効いているという実感はなく、むしろこのままでいいのかと焦りが募るような感覚になっていました。そんな中、彼と話をした時間はこれまで飲んできたどんな薬よりも効き目のある出来事(薬)になり、自身が冷静さを取り戻すきっかけになったことは間違いありません。
このような原体験の中で見えたメンタルケアにおける医療以外の部分の可能性や精神疾患に対する社会の空気感(偏見)の存在、「心の病」が問題視されている社会の状況、今後の人生を前向きに生きるための方法などについて考えた結果、私は現在の活動を始めることを決断しました。

バスケットボールの交流など、
スポーツを通じて、メンタルケアの普及啓発を実施。

その後は勤めていた会社を退職、活動資金集めとして実施したクラウドファンディングでは総勢244名の支援者様から総額約260万円のご支援を頂くことができました。(2020年11月)
この時に初めて自身の原体験について公に発信をしたのですが、「自分にも実はそんな時期があった。」、「学生の時に家族が心の病が原因で自殺をしてしまった。」といった個人的な連絡が何件も来ました。知り合いの範囲内だけでこれだけ悩みを抱える人がいたことへ驚いたと同時に、これから挑戦するプロジェクトにも意義があるかもしれないと思えた瞬間でもありました。

2021年3月から日本一周活動を開始したものの課題は多く、人々から興味、関心を持って頂くための工夫というものが必要不可欠でした。その手段の一つとしてスポーツ交流があると考え、旅先ではバスケットボール交流等も通じてメンタルケアの普及啓発に繋げてきました。活動の様子は朝日新聞(2022年1月25日)や毎日新聞(2022年7月13日)等のメディアでも取り上げて頂き、多くの方々に活動の認知を広めてくることができたと感じています。
各所のメディア発信を見た当事者の方から連絡を頂くこともあり、「原さんの発信内容に共感する部分があった。」と当時の私と近い部分で躓いている方がいることを知れた機会にもなりました。

旅を終えた現在も大阪府を拠点に講演会やバスケットボール交流等の活動を実施しています。教育現場の方々からは過去の挫折経験から挑戦を始めた過程にもご関心を持って頂き、「メンタルケア×キャリア教育」といった内容での講演の機会も頂いています。
未だ課題が多いメンタルヘルス分野で、スポーツ×メンタルケアによる「予防」の可能性を見出していきたいと思います!

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