HYPOTHESIS OF COACHING

\ コーチングの仮説 /

チーム内でのコーチ同士のジレンマ
FC東京スクールコーチのケース

FC東京 クリニックマスター

中村淳コーチ

【FC東京 普及部コーチの連携に向けたライフスキルプログラム】
~FC東京×サカイク~

今回はサッカーのJクラブでサッカーの普及活動を実施しているコーチ対象の研修について報告をします。サッカーは他の種目と違い、ライセンス制度は比較的充実しており、コーチ自身が学ぶことや成長することは重要との認識はあります。しかし、スクールを指導しているコーチは、日頃、それぞれの担当地での業務がびっしりとあり、スタッフ間での交流は比較的少なく、共通認識が欠けていってしまうこともあります。コーチが持つ子どもたちへの愛は大きく、サッカーを通じて子どもを成長させたいという想いも強いです。よって、「みんなその想いは同じだろう」という暗黙的な思い込みが、実はコーチたちのジレンマを生みます。一つのスクールを担当する二人のコーチの「協力」が、何よりも重要であり、それはクラブ理念に基づいて形成されます。今回は、こうした自分たちでも気づきにくい複雑なジレンマとは何かを紐解き、日頃の子どもたちのサッカーを通じて育むコーチングの共通認識をすり合わせることからスタートしました。
「囚人のジレンマの援用モデル」からコーチングのジレンマを可視化して、それぞれが持つジレンマを客観的にとらえました。積極的な意見交換が見られました。「わかっているだろう」というお互いの暗黙的な思い込みは、ペア間のすれ違いを発生させることが認識できました。

~~中村淳コーチ(クリニックマスター)のコメント~~

今回サカイクさんと事業を共に実施するにあたり、東海林先生の研修をFC東京普及部コーチ全員で受講をさせていただきました。
私も最初はどうかなと思う部分があったのですが、資料や文献を読み課題を進めることで、普段なかなか行うことができない自分自身と向き合い、自分を見つめ直す良い機会になりました。また実際の研修でも、仲間とのやり取りを通じてお互いが相手の知らない新たな側面や考えを知ることができました。これは東海林先生が現場の指導経験をベースに話をしてくれることで、我々現場の人間が共感し、理解しやすく、前向きに研修に取り組めたという点があったと思います。
実際に今回の研修後、組織としても変化がみられました。具体的には日々の業務や指導現場において、誰に何を行ってほしいという事を、お互いが明確に相手に伝えるようになりました。これまではどこか相手に遠慮をしていたり、やってくれるだろうみたいな雰囲気があったりしたのですが、それが解消されたと感じます。これは先生からの「目標達成の為には明確な役割分担ができていないと、そこにジレンマが生じる」という言葉が響いたのかなと思っております。目標達成のためにはお互い遠慮することなく伝えあうことはとても大切であり、良い方向に組織が進んでいると感じております。
我々FC東京はサッカーを通じて子どもたちの人間力向上を謳っております。コーチ達が学んだことを現場で子どもたちの成長に繋げることが、今回の研修に対する恩返しだと思っております。今後も良い形で子どもたちにフィードバックをし続けていきたいと思います。
最後に今回の研修は1日に内容を詰め込んで実施してもらいましたが、正直な感想としては「もっとしっかりと受講したかった」です。機会があればじっくりと学びたいと思います。

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